ストレスを解消する方法


                           山梨大学名誉教授 山田伸志
                                2017/4/2

心の状態が、体の状態にも影響する。
体の状態が、心の状態にも影響する。

1.ストレスの原因になっている問題を解決する。人生には様々な問題が発生するが、それを努力で解決したり、乗り越えたりすることによって、ストレスをなくす。
 ストレスの原因としては、人間関係が多い。人間関係の解決には様々な道筋がある が、「行いを憎んで、人を憎まず」の姿勢で行動することである。問題のある行動、意見については、きちんと反論してもいいが、その人の人間性までも否定し てはいけない。憎む気持ちが出てくると、相手もこちらを憎んできて、解決が難しくなる。
 NPOで関わっている騒音問題も、人間関係がうまくいっていないケースが多い。お互いを人間として尊重しながら、解決策を探す。
 どうにもならないときには、結果を気にしないで、あきらめるという気持ちも解決策の一つである。

2.心をリラックスすることは難しいが、体をリラックスすることはできる。
 体がリラックスすると、心もリラックスし楽になる。自分で行うことができる。

2.1 スポーツをすると心は楽になる
 スポーツは何でもいいが、比較的小人数で気軽にゲームができる、バドミントン・卓 球・テニスなどがいい。小人数でできるスポーツは集まりやすく、年をとってもできることが多い。地域のスポーツクラブを探すのがいい。小学校単位で練習し ているクラブも多い。クラブによっていろいろ個性があるので、自分の性格に合ったクラブを探す。はじめは見学等で参加して、良ければ、メンバーとして参加 する。
 個人競技である水泳・散歩等もいいが、散歩は余裕がありすぎて考えてしまうこともあるので、少し負荷のかかるジョギング程度がいい。

2.2 カラオケは、体と心にいい。声を出すことはエネルギーを使うので、心が無になれる。ペタンク、ゲートボール、絵画サークル、合唱サークルなど、なんでもいい。
 体を動かしてすこしつかれ、おしゃべりをしながらお菓子を食べていると、心はリラックスする。高齢者の健康の秘訣である。あるバドミントンのクラブでは、バドミントン半分、お菓子を食べながらおしゃべりが半分である。

2.3 脱力法
 筋肉を緊張させたのち、素早く筋肉の緊張を解放することで、リラックスできる。つ ま先立ちで背伸びして、両手を上に上げ、上で両手を組み、1秒間ほど保つ。その状態から、組んだ両手を離し手を下に落とし、普通の姿勢に戻る。脱力でき る。3回程度行う。各筋肉ごとに、緊張させて、力を抜いて弛緩する動作もよい。この後に仕事がある場合は、「よしやるぞ」とつぶやいて、動き始める。

2.4 自律訓練法
体をリラックスさせる訓練をし、その結果として、心をリラックスさせる方法。
「右手が重い、右手が重い、右手が重い」とつぶやくように言う。いすに座っててもいいが、横になって布団の上でやる方がやりやすい。お風呂から出た後でやると、リラックスして眠ってしまうことも多い。
「左手が重い、左手が重い、左手が重い」
「左足が重い、左足が重い、左足が重い」
利き手、反対の手、利き足、反対の足、おなか、胸、顔について行う。
重い、暖かい、呼吸が楽、顔が涼しいなど、リラックスする言葉をつぶやく。
細かい表現は、自律訓練法の本を参照されたい。つぶやく言葉は自分に合う表現に変えてもいい。
 手の表面の温度を赤外線放射温度計(2000円程度)で測定すると、人によって10度位温度が低い人がいる。リラックスすると、血行が良くなり、表面温度が上がる。

2.5 呼吸法、座禅、ヨガ、マッサージ、瞑想法などがある。
自分に合った方法が見つかれば行うのが良い。インターネットでは、この方法が最善であるという書き方がされているが、自分に合った方法が最善である。

3.他者の援助による方法
カウンセリング、他者催眠法などもあるが、ストレスの原因が自分では取り除けない厳 しいときに、他者の援助で行う方法である。もちろん、精神科の医師の援助もある。カウンセリングの分野では、比較的短時間で効果が得られる認知行動療法が 最近よく使われている。いろいろな手法があるが、自分に合った方法が見つかると良い。

なお、文部科学省WEB、「心のケア」には、具体的な方法が書かれている。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/004.htm