騒音とは、うるさい音、やかましい音ともいわれます。身近な例として、町を我が物顔に走り回る暴走族の音や、隣の石油ボイラーの音等もうるさいものです。
騒音は人間生活に伴って出ますので、音をうるさいと思う現象と、音を出している人の無神経 さに腹が立つことがあります。ピアノを演奏しているとき、演奏している人が一番大きな音を聞いて いて、隣家で無理矢理聞かされている人の方が小さい音を聞いています。しかし、小さい音であって も音を聞かされている人は、自分でその音を止めることができないのでいらいらします。騒音は、音
の大きさとともに、その音を自分で止めることができないことが問題です。音を出す人は、音を聞か されている他人のことをよく考えて生活をしましょう。
騒音の測定は、騒音計のA特性で測定します。A特性は、低い周波数帯の感度を下げてあります。
騒音については、騒音規制法で規制基準等が決められています。騒音規制法については、法規制の概要に 述べてあります。
鍛造機等の大型の工場設備、あるいは、大型の土木関係の機械等が地面を振動 させることがあります。地面の振動が地震の伝搬と同じ原理で伝わり、民家 を振動させます。地面の振動があるレベルを超えると、人間が振動を感じます。
地面振動については、振動規制法があります。日本では鉛直方向の地面振動で 規制されています。振動の測定は、人間の振動の感度に合わせた荷重特性が使 われています。振動規制法については、法規制の概要に述べてあります。
ただし、窓ガラスが揺れるなどの現象が発生すると、地面振動が原因と考える 方が多いでしょうが、低周波音によっても窓ガラスが揺れますので、地面振動 であるか、低周波音が問題であるかは、十分な検討が必要です。
低周波音は,モーター,エンジンなどの人工的な機械から発生するものと,雷 ・滝・地震などの自然現象から発生するものとがあります.また,音圧レベルの 変動幅が大きいものと小さいものがあり,主な発生源としては下の表のような例が あげられます.
近年は,工場,事業場,店舗,近隣の住居などに設置された固定発生源で,あ る時間連続的に稼動し,発生する低周波音は比較的低レベルで変動幅も小さい ものが苦情原因となることが多いようです.石油ボイラーなどはその例です. 家庭に据え付けられた機器は,近隣騒音苦情としての面もあり人間関係が絡む ので解決が難しい傾向があります.交通機関は低周波音の 発生が間欠的であり,高いレベルでないと苦情になりません.
苦情の内容は,物的苦情と心身の苦情に分けられます.物的苦情は音を 感じないのに戸,障子,窓ガラスなどの建具がガタガタ振動したり,置物が移動 するといった苦情です.物的苦情が発生する場合は 20Hz以下に卓越周波数を 持つ超低周波音による可能性が高いとされます.心身の苦情は,低周波音が気 になりよく眠れない,気分がいらいらする,音が不快,鼓膜や頭,胸,腹など に圧迫感や振動感を感じるといった苦情から,頭痛やめまいがする,吐き気が するといった苦情までありますが,中には因果関係が明確でないものも含まれ ています.
低周波音自体はいわゆる重低音ですから,圧迫感や振動感を伴う低い音で,耳 で聞くことができます.また,超低周波音ではトーナルな性質は失われますが ,最も敏感な感覚器官は聴覚であることが分かっています.ただ,低周波音で は音の大きさが小さい割りに不快な印象を与える場合があります.環境省がま とめた苦情件数の統計では,低周波音の性質が一般の人によく理解されていな いので苦情が顕在化しにくい面もありますが,ここ数年は 100件前後となって います.それによると,物的苦情は対処方法が明確ですので減少しており, 心身に関する苦情が多くを占める傾向になっているようです.
※平成16年6月に環境省が公表した「低周波問題対応の手引書(環境省)」には, 物的苦情と心身の苦情を評価するための指針(参照値)が示されています.し かしその適用範囲は,時間的に移動しない固定発生源で,ある時間連続的に低周波音を放射しているものに限定されているので注意が必要です.道路交通の ような大幅かつ不規則に変動する発生源や航空機,鉄道といった一過性・間欠 性の発生源及び発破・爆発,高速列車のトンネル突入と行った衝撃性の発生源からの低周波音は適用対象外となっています.